2005年のぶらぶらフォト日記


11月27日(日)

今日の写真はクレムソンレーキな神戸の倉庫。最近撮った写真の中で特に気に入っている一枚だ。

今朝の日曜美術館で建築家の吉村順三さんが、建築は感性だと言っていた。感性という言葉を使うと、それですべて説明終わりという感じがしてしまって「うん?」となるのだが、「感性ね」と、こちらも納得はしやすいというか、なんというか・・・

この写真の場合、どこがそんなにいいのかと聞かれると、僕はこう答えるだろう「こんな天気のいい日の夕方に、こんな綺麗なクレムソンレーキな色に塗られ、ずっしりと重そうに、そして逆行になる方向のプロポーションがいい建物に、たまたま遭遇できた時の写真だからいい」と。

世の中、建築にしろ、写真にしろ、何にしろ、根っこの所は、たまたまかな〜という気がする。いわゆる天命なのではないだろうか、と最近思うようになってきたのは、歳のせいじゃなく、人間が出来てきたのだと思いたい。








11月26日(土)

今日の写真は芦屋浜。ここは最近マンションやら住宅やが着々と増殖していて、新しい町になりつつある。この前まで何も無い埋立地だったのに、久しぶりに行くと、その変り様にびっくりする。

海沿いには綺麗な公園が整備されていい環境だが、隣の島の工場から漂ってくる匂いが、臭くは無いのだがちょっと気になった。

それと2階建ての住宅が結構たくさん建っていたのだが、津波が来た時には大丈夫か?西宮浜は高いマンションばかりなのであまり思わなかったのだが・・・








11月25日(金)

今日はプリントの調整に大阪の現像所まで行って打ち合わせ。

こちらの思う濃度とか色目を伝えるのはなかなか難しくイライラする。でもカラープリントはプリンターに任せているので、これが限度かなという所で落しどころを見つけなければならない。自分がやっても完全な色は出ないと思うので、まあしょうがないか。

その後、本町から梅田までぶらぶら。その後、目の中の脂肪の塊りみたいなものが最近ちょっと大きくなったような気がしたので眼科に行く。夕方6時ごろ行ったら「9時ぐらいに来てください」と言われ、9時!おそいな〜と思いつつも一旦帰って食事して、9時に行ったらまだ5,6人待っていた。

すごい繁盛している眼科だった。診断してもらった結果は問題なし。良かった!病院に行ったおかげで今日は酒抜きの夕食だったので、ほぼ半年ぶりの休肝日。

今日の写真は梅田駅前ビル。左から第2、第3、第4。第1は左にあるが、画面に入らなかった。花金の給料日、大阪も西宮も、飲み屋は盛況だろう。








11月24日(木)

昨日は久しぶりに大阪舞洲(まいしま)に行って来た。阪神の伝法駅から歩いたので往復14,15キロ。ちょっと足の裏痛い。

1年半ぶりに行った舞洲は建設ラッシュ。大きな施設の工事があちこちでおこなわれていた。今日の写真はその舞洲の風景。

奥に見える青いチンポコみたいな塔が建ってる建物が去年の春に撮影した舞洲スラッジ。「ウンコちゃんの最終処分施設や」と現場の人は言っていた。

カラフルなデザインはフンデルト・ワッサー。撮影当時はとても鮮やかな色合いだったのだが、昨日行って見るとオレンジ色の退色がひどく、なんかもう古びてしまったという感じがした。

この舞洲スラッジの横にもワッサーデザインの処理施設があるが、こちらは赤を基本にしているので退色の感じは無かったが、こちらも時間の問題だろう


この写真が隣の施設。ワッサー独特のデザインだが、周りに大きな施設がどんどんできて、なかなか全容を眺めれなくなってきている。こうなるとわざわざワッサーに依頼した意味が薄らぐ。

でも、いくらワッサーでも、しょせんハリボテはハリボテ。短命だろうな。








11月22日(火)

昨日は神戸、今日は西宮とぶらぶら撮影。今月は建築写真の本数が少ないのでぶらぶらが進む。うれしいような、悲しいような、ちょっと複雑な気持ち。

昨日、電車に乗っていたらリュックを背負った2人組みのインドかパキスタン辺りの外人が乗ってきた。僕のまん前で何語かわからない言葉でしゃべっている。背中には大きなリュックサック。ドキッ!もしこのリュックの中に爆弾が入っていたら・・・

そんな想像をしたらあぶら汗が出てきた。スペインやロンドンで起きたテロを思い出す。インドネシアのテロもたしかリュックサックだったよなあ。ここで爆発したら僕は跡形も無く吹き飛ばされるだろう。

たった阪神御影から三宮までの間でメッチャ神経衰弱。頻繁に自爆テロが起こっているイラクの人々はどんな神経で生活しているのか。普通の暮らしはできんだろう。

リュックの2人組みの外人は三宮でニコニコしながら電車を降りてどこかに行ってしまい、何も無くメデタシ、メデタシだったのだが、僕はテロの恐怖を少しだけ味わったのだ。

今日の写真はテロには関係ないが兵庫県立美術館。こうやって見ると阪神間には安藤さんの作品がヒジョーに多い。








11月20日(日)

昨日は母と弟が田舎からやって来て野菜やら米やらを届けてくれた。その後、神戸の義兄に食事をご馳走になった。僕はもらったり、ご馳走になったりで、ただただ感謝なのです。

この先、僕がブレイクするような事があれば感謝のお返しをしようと思っているのですが、ブレイクがブロウクンになってしまった時は、残念でしたという事で・・・

僕がブロウクンするのはまだいいが、マンションがブロウクンするのは大変な事。建築士がらみのえらい事件がおこっている。真相はまだわからないが、金が絡んだドロドロとした事実があるに違いない。

今回の事件や、悪徳リホーム、先日あったクーラー配管用の穴あけで梁の主筋を切断してしまった事故など、建設業界への不信感は高まる一方だ。少しでも建築にかかわってきた僕としては本当に残念。

そこに住んでいる人は無条件でその建物を信用しているという事を、よく肝に銘じて欲しいものだ。今日の写真は西宮武庫川団地。ここは大丈夫、だよね。








11月19日(土)

昨日で43歳になった。もうオヤジなのか、まだ若いのか、ビミョーなとこだと思っているのは自分だけみたいで、はたから見れば、しっかりオヤジなんだろう。

顔なんかは鏡で見てもそんなには思わないのだが、デジカメで撮った自分の顔はやっぱり歳相応にオヤジやなと思う。鏡と写真とは左右逆になるので、他人からどう見られているか確認するにはデジカメの方が正しい。

20歳の頃は必ず10ぐらい上に見られていたんだから、歳相応ならよしとしよう。男があまり若く見られるのもいいもんじゃないしな、問題はナカミなのです。

今日の写真は鳴尾浜のゴルフオヤジ。風の強い、空の綺麗な日の夕暮れだった。








11月17日(木)

今日は午前中、昨日撮れなかった現場の撮影を済まし、昼から川西の現場に撮影に行く。昨日はダメだったが、今日は予定どうりに撮影が進み、夕景もいい空模様で撮影ができた。

悪い日もあれば、いい日もある。人生も経済も、悪い時もあれば良い時もあるのだろう。と、信じて生きていきたいものだ。

今、ステレオからパブロ・カザルスのチェロが流れている。その上、晩酌で一杯やっていい気分。今日はこのくらいにしときます。

写真は安藤忠雄、サニーガーデンの夕景。うちの家から徒歩10分ほど。築後30年弱、あまり手が入ってなく、いい雰囲気なのだが、なんかキチキチっていう感じ。建ぺい率は施主から言われたらドーにもならんのだろう。

けど、木が一本あったらどんなに良かったか・・・








11月16日(水)

今日は朝から宝塚に撮影に行くが、仕事が終わっておらず「昼からにしてもらった方がいいな」と監督さんに言われ一旦帰る。昼から出直したが今度は天気が悪く今日の撮影はキャンセルになった。

「まあーこんな日もあるか」と言い聞かせ、昼過ぎからは鳴尾の方に自転車でデジブラ。ここのところ毎日デジブラに出ているので、なかなかいい感じの写真が溜まってきた。一日1枚じゃ追いつかないぐらい。でもぶらぶら日記じゃ食べていけんけどなあ〜

今日は海沿いに自転車をこいで行ったので寒い寒い。海沿いは綺麗な空なのだが山の方を見ると厚いグレーの雲が山を覆っている。これじゃあの現場はダメだなと諦めがつく。

今日の写真は今日撮った写真。甲子園浜に停泊している小さな船。船員が連れてきたのだろう、自転車に仔犬がつながれていた。








11月15日(火)

今日は午前中川西の方に撮影の打ち合わせ、夕方からは西宮浜の方にデジブラ撮影。いつもと変わらない写真中心の日々。

テレビでは津波、紀宮様の結婚式、ブッシュ来日と話題は尽きない。いちいち気にしていたら仕事は進まない。情報過多、そんなに知ってどうする、最近よくそう思う。

そう言いながら、ついつい知ってしまった最近のニュースでは、老夫婦の焼身心中が一番ショックだった。悲しすぎる。知りたくなかった!

それと母親に毒を飲ませその様子をブログに書いていた女子高校生の事も知りたくなかったし、同級生にめった刺しにされて殺された女子高生の顔も見たくは無かった。犯人の男子高校生の顔はぜひ見てみたいが・・・知りたくない、知らなくていい事が多すぎる。

今日の写真は香枦園浜にある西宮砲台。1866年、黒船の来航に備える勝海舟によって建造されたが、一度も使われなかったそうだ。今日は勝海舟を師と仰いだ坂本竜馬の命日。最近のニュースを見たら竜馬はなんと言うだろう。








11月14日(月)

今日はどこにも行かずにデジブラ写真のデータ整理。デジカメの場合、撮影後の作業が結構わずらわしいのだが、暗室のことを思えばとても楽。

ウェブにアップするのは簡単なのだが、インクジェットでプリントした時にどんな仕上がりになるのかが少々気がかりだ。早くテストをしてみたいが、プリンターが古いので出来ないでいる。

うちには10年前のキャノンのプリンターしかなく、そろそろ新しいプリンターが欲しいのだが、買うからにはA3までプリントができる、ちょっといいやつをと思っているのでなかなか買えないでいる。

ギドン・クレーメルのバイオリンを聴きながら100カットぐらいの写真調整。この人のバイオリンはとてもいい。それでも写真の調整はとても疲れた。

今日の写真は宝塚のマンション群。武庫川沿いに集中するこの宝塚の街並みはなんか、異様な感じ。ちょっと建てすぎやろ。








11月13日(日)

昨日は茨木市の方で竣工写真。ササッと片付けるつもりが天候の具合でびっしり夕方まで。ついでに予定に無い夕景の写真までサービス。

夕景と言っても最近は日の暮れるのがとても早く、5時過ぎが撮影タイミングで夏場に比べて2時間も早くなる。早く帰れるのはうれしいが、カット数が多い時はバタバタ。

今日の写真は大阪寝屋川を行く観光船。その奥に見える平べったい緑の屋根が大阪城ホール。1983年竣工、15,500人収容のスポーツ、多目的ホール。








11月11日(金)

今日の写真は宝塚新大橋の上から撮った宝塚の街並み。武庫川を挟んでマンションやらホテルやら旅館やら温泉、そして宝塚歌劇の劇場など大きな建物がびっしりと建ち並んでいる。

ここまで集中して建物を立てる必要があったのかどうかわからないが、これも宝塚駅前再開発の結果なのだろう。

なんでも阪急宝塚南口駅前の再開発が都市再開発法に基づく日本最初の再開発事業なのだそうで、兵庫県下の自治体の再開発施工件数は東京に次いで全国で2番目に多いのだそうだ。








11月10日(木)

なんか竣工写真が暇なときには晴天が続くような気がして気分が悪い。そのかわりに、ぶらぶら写真はデータが着々と増えていっている。

何でもかんでも、どこでも誰でも撮れてしまう今だからこそ、きちんとした自分なりの考えで撮らなくてはいけないと思うのだが、考えもまとまらないうちに時間が空けばつい、ぶらぶらと撮影に出かけてしまう。

今日の写真は阪急西宮北口の南側。この辺は開発が進んでおり、壊されたり造られたりと随分忙しそうだ。写真の奥には先日ぶらぶら日記に載せた西宮シンホニーホールが見える。


この写真は阪急西宮球場の解体跡。あっという間に更地になった。はたしてここにはどんな施設ができるのだろうか?あまり興味は無いけど。








11月8日(火)

最近ずっと考えているのが、アートとみなされる建築写真のこと。

今、東京国立美術館でやっている「ドイツ写真の現在」で取り上げられているベッヒャー派(おもに70年代以降にデュッセルドルフ美術アカデミーで、ベルトン&ヒラ・ベッヒャー夫妻から写真を学んだ作家たちのこと)の作家や杉本博司、ホンマタカシなどが撮っている建築写真の事だ。

彼らの写真は人気があるみたいで、最近はよく雑誌にも特集が組まれている。杉本博司の建築シリーズは有名建築家の建物を、わざとピントを外しぼけぼけにした白黒写真。大きさが182センチ×152センチととても大きく、5部の限定枚数で一枚なんと9,240,000円!売れているかどうかは別として評価は高い。

杉本博司ほど高くは無いがベッヒャー派のトーマス・ルフがミース・ファン・デル・ローエ設計の住宅内装を撮った写真(180センチ×130センチ、カラー)は3,300,000円、同じくベッヒャー派のカンディーダ・ヘーファーの撮ったミースも(152センチ×152センチ、カラー)3,300,000円となかなかの評価だ。

本物の写真は見たこと無いのだが、これだけ大きいとかなりの説得力はあると思う。やはり写真においてそのプリントサイズというのはかなり大きなウエートを占める。

杉本博司の写真をキャビネサイズで焼いたものと、ぶらぶら写真を180センチ×150センチでプリントしたものを比べたら・・・・・・

撮影コンセプト、撮る姿勢、見せる姿勢、大きさ、などなど、とても勉強になる。来年早々に京都にこの写真展が巡回してくる。ぜひ見に行きたい。

今日の写真は大阪片町。この写真も2メーターぐらいに伸ばして美術館に置いておけば、いっぱしのアート作品で通用する・・・・はずがない・・・・・か。








11月6日(日)

ここ何日か家でぶらぶらしてるので書く事があまり無いのだが、写真だけは着々と溜まってきているのでアップします。

上の写真は大阪京橋の赤い建物。ピンクの空にドキッとするほどクレムソンレーキーな建物はとても綺麗だった。


上の写真は京阪香里園駅のすぐ東側にあった教会?か結婚式場?みたいな建物。ごちゃごちゃした町並みに気分悪いほどマッチしてない。街並みが先か、この建物が先か、それが問題だ。


上は西宮のニテコ池。アスターの散歩コース。手前の黄色い花はこの季節どこにでも咲いているセイタカアワダチソウ。エストモ曰く「進駐軍の戦車のキャタピラに付いて種が外国から運ばれてきた」 そうなんです。


ふっふーん、赤い薔薇。


なぜか気になった黄色い建物。軒の出があと30センチ短かったら撮ってないだろうな。


上は夙川公民館。悪くは無いけどもう少しの工夫があれば有名建築物になったかも。


武庫川のかも。


西宮のU邸。吉阪隆正、U研究室作品、竣工1956年。道路拡張のために西側のアプローチがなくなってしまった。内部は本(「吉阪隆正の方法」齋藤裕子著、星雲社)でしか見たことが無いのだが、外部はアプローチがまだ存在する姿を僕は知っている。アプローチがなくなったのは残念だが、建物が残って非常にうれしい。建築家の「手」の痕跡を感じられるいい建物だ。








11月2日(水)

今日は天気がいいのに写真の整理、ラボに行った帰りに図書館。昼からは天気が悪くなったのでブラ写には行かず家で勉強。

モノクロの写真のときは曇りとか雨の日にも良く出かけたのだがカラーの場合、やはり天気がいい方がいい写真になる。いや、やはりこれはいい訳やな、何でもいいからバンバン撮りましょ。

今日の写真は渡辺豊和のオッパイハウス。ズバリそのままなんでコメントは特にありませんが、この家を探し当ててカメラを構えているところを下校中の小学生に変な目で見られたのがちょっと恥ずかしかった。








11月1日(月)

今日は寝屋川の香里園にアルバムの納品。帰りに石井修の「ドムス香里」までぶらぶらする。

とてもいい天気で「こんな日に撮影じゃなくて納品かよ、でも今日は天気良すぎて逆にだめやな」なんてぶつぶつと言いながら歩く。なかなか見つからず結構歩いたが、信号待ちをしていたときに坂の上にこんもりとした茂みを発見。あれか!とすぐにわかった。


久しぶりの感動!「すげーっ」と思わず声が出る。築後25年、建築家は森を造ったのだ。秋の澄んだ光に緑が透けてとても美しい。屋根には猫がひなたぼっこ。共用の通路はまさに森の小道だ。

きわめて低く押さえらられた建物の高さ、住戸のアプローチはまるで洞窟を思わせ、ひっそりと、しっとりと、人を迎えるのであろう。各住戸の坪庭から延びた木々もすごい。

昨日の日記で書いたコンクリート打放しの汚れの話はなんだったのかと思わせる。汚れなんて、そんな些細な事は自然が簡単に飲み込んでいた。

所詮、人間が造ったものなんて高が知れてる。それならいっそ自然に隠してもらおう、そんな想いが感じられる。

ここには極めてレベルの高い建築家の魂が刻印されている。


魂の刻印なんてちょっと褒めすぎか。しかし、すごいよここは。ほんまに。残念ながら内部を見ることはできなかったが、また機会があればぜひ見せてほしい。

「いやーしかし25年で森はできるんや、他の建築家もどんどん森を造らんかなー、クライアントの理解を得るのは難しんかなー」と、またぶつぶつ言いながら今度は近くにある渡辺豊和のオッパイハウスに向った。オッパイハウスはまた次回。







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