2〇〇4年のカメラマン平のぶらぶらフォト日記

5月31日(月)

先週でBURABURA-4のプリント完了。暑くなる前に終わったので助かった。後はセレクト、コピー、製本で出来上がり。なかなか面白い写真集になったと思う。結果は・・・

一ノ瀬信子編、「もうみんな家に帰ろうー!26才という写真家 一ノ瀬泰三」(窓社)を読んだというか見た。久しぶりに感動した。泰三の生き様とか写真はもちろんだが、泰三が死んだ後の両親の行動、また夫が死んだ後の妻の姿にはウルウルくるものがある。

泰三の母親は、写真には素人で、はっきりとした年齢は書いてないが、文章から推測するにもう80歳くらいで、その歳で泰三と夫の残したネガを自分の家で、自分でプリントしているのである。それも相当の数のプリントだ。

本の終わりに暗室日記というのがあり、それを読むとプリント作業の大変さを少しでも知っている僕には頭が下がるというか、励まされるというか、BURABURA4ぐらいのプリントの数で何が大変や!この母を見よ!と、自分が情けなくなったりするのである。

人の感動を呼び起こすものは決して、技術ではないと思うし、目に見えるものや作品よりも大切なものがあると思う。それは作者のイ・キ・ザ・マ。 なんやろな〜



5月23日(日)


今年は五月晴れが少ないみたいで、なかなかいい晴れが来ない。今日の撮影も延期になった。そうなると「ぶらぶら4」のプリント作業である。連休明けから暇があれば、セレクト、プリントの繰り返しで部屋の中はすっかり酢酸臭くなってしまっている。締め切りまで後10日、ラストスパートで頑張ろう。

今月の建築雑誌「新建築」に先日撮影した大阪国立美術館の写真が載っていた。(もちろん新建築カメラマンの撮影した写真)表紙も美術館地上部分のステンレスアーチの夕景写真が何故かセピア調の色合いになって使われていた。中で1枚ほど「こいつ、いい場所探したなー」と思う位置からのアングルがあったが、他はほとんど同じ写真だった。

同じ写真と言うと、営業の人とか、現場の人に「この位置から撮ると**さんと同じ写真になるでしょ」とか「あーこれ一緒やん」とか言うと、「いや、ぜんぜん違います」とよく言われる事がある。これは僕にはよく理解できなくて、「違う?」と聞くと「うん、全然違う」と必ず答えるのである。

これには「**さんの方がぜんぜん良い」と「**さんの方がぜんぜん悪い」と言う、どちらかの意味が込められていると思うのだが、「なんで?なんでや?一緒やん」とまでは言えるが、「どっちが良くて、どっちが悪いんや!はっきり言わんかい!!」なんてなかなか言えるものではない。

その写真がいいか悪いかの判断が、上手いか下手かで決められるような、写真ではなくて、なんかよく解からんけど「いい写真やなー」と言われるような写真を僕は目指したいといつも思っている。下手な奴の言い訳に聞こえるかもしれないが、「上手い写真」と「いい写真」。この差はトテツもなく大きいのだ。





5月16日(日)

今日は川西市の文化会館へ村上龍の講演というかトークショーを聞きに行ってきた。
氏の「13歳のハローワーク」という本の内容なんかについて話しを聞かせてくれた。

この本は最近100万部を超え、大ベストセラーになっているみたいだけど、僕はあまりよく知らない。

子供が好きなことを職業に出来るノウハウなどが書かれた内容の本だろうと思うが、村上氏のトークは別段変った事を言ってる訳ではないし、当たり前のことばかりしゃべっているのに、何故か場内はドット沸いたりする。僕にとってはぜんぜん面白くないトークショーだった。

好きなことを仕事にしてる僕にとっては当たり前の内容なのだから、面白くなくても当然なのだが、それより好きなことを職業に選んだときのリスクの方を多く語って欲しかった。まあ100万部も売れるような人気作家にはその辺の苦労は無いみたいで、13歳ぐらいの少年、少女には大いに夢だけ語っている方が本は売れるよなー。

村上氏「好きなことをするのは大変です」これだけには、大いに頷けたが・・・


5月9日

ほぼ一ヶ月ぶりのぶらぶら日記の更新。皆さんお元気でしょうか?
この一月は竣工写真ばかりの日々が続きましたが、連休明けぐらいからは、ぼちぼち仕事も落ち着いてきて、6月のあたまが締め切りのキャノン写真新世紀の公募に向けてBURABURA4の制作に取り掛かっています。
この一年撮り溜めた写真をセレクトし、プリントし・・・・時間がかかります。

2年前に始めて応募して佳作!優秀賞を目指した去年はボツ。今年はどうなることかと思いながら制作しているところなのです。
なんせ1000人を越す若手(平均年齢29歳ぐらい)のカメラマンや写真家がしのぎを削る写真業界では大きな公募展なのです。この賞をきっかけに売れて行ったカメラマンはヒジョーに多いのです。佐内正史、ヒロミックス等等。

写真界では新人は35歳ぐらいまでを言うみたいで、僕みたいに40を超えたおっさんは中堅なんて言われるのでしょうが、写真を始めたのが一般より遅い僕の場合はまだまだ新人だと思っているわけで、これからもどんどん応募していきたいと思っています。



4月12日(月)

前の公園の桜は花があと僅かになり、代わって緑の小さな葉が目立ちだした。今日は半袖の方が快適。これからは暑い暑いと言いながらの撮影だ。

先週は大阪国際美術館の撮影があった。東京からもカメラマンが来ていて、その日のカメラマンの数は全部で7人。あっちから撮ったり、こっちから撮ったりで、なかなか楽しかった。

写真の出来はどうかわからないが、顔は僕が一番貫禄があったと思っている。(一番年上だったかも)これからはカメラマンも、撮影を見てる人々を楽しませ、喜ばせなければならないのではないかと思う今日この頃で、いいカメラを買うお金があったら、皆が見とれるすごい冠布を作りたいと思う。

顔のことでは現在、僕の今までの人生の中で一番髪が長くなっている。もう少しすれば後ろでチョンマゲが結えるぐらいだ。僕を知る人が想像したら気持ち悪いだろうが、なかなかいい感じのぼさぼさなのである。先日、半年振りに逢った所長に「どこか遠くの国から来た人みたいや」と褒められたのか、けなされたのか解からない意見をもらい、「日本人離れしてカッコいいでしょ」といい方に解釈した。

いつまで伸ばせるか解からないけど、いけるところまでガンバルつもりです。


4月5日(日)

今日は冷たい雨。前の公園の桜が雨に濡れていたが、夕方になって外に出てみるといい感じの夕焼けで、雨に洗われた桜が異常に綺麗だった。

甲子園ではこの寒い中決勝戦が行われ、高校野球から阪神へバトンタッチされる。開幕阪神は東京ドームで巨人を3タテ。今年もタイガースはやりそうです。

撮影がなくても写真整理、今が竣工写真のピーク。ぶらぶら写真がなかなか出来ないのが悩みの種だが、お金になる写真もちゃんとやらんと生活できんし・・・

考えてみると、ぶらぶら写真の様に撮った竣工写真がものになれば問題は無いのだが、なかなか35ミリの手持ちで撮った建築写真はお金にしにくいのは確かである。
大きいカメラ(シノゴ)できちんと撮った写真は値段がすぐに付けれるが、小さいカメラ(35ミリ)で撮った写真はなかなか値段が付けれないのだ。

「こんなフツーのカメラなんかで撮るんだったら、自分でも撮れるわ」なんてクライアントも思うんだろう。がしかし、そんな写真が一番カメラマンの能力が試される写真で、僕なんかは能力が低いもんだから、写真をまとめるのにシノゴで撮った時の何倍もの時間を必要とする。撮影は速いが、仕上げはセンスと時間が掛かるのが35ミリだ。

近いうちに「ぶらぶら写真 建築編」でもやるかな。


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