平 桂弥のカメラマンぶらぶら日記

☆2000年 12月 25日
今年も後一週間で終わりです。早いな〜あっという間です。
この一年振り返ってみるとなんだかとても暑い一年だったと言う感じです。これからまだまだ地球は暑くなるのでしょうか?
きのう昼過ぎぐらいにテレビをつけたら高校駅伝をやっていました。
もうこんな季節なんだなと思いながら、ついついスタートからゴールまで全部見てしまい、最後のデットヒートでは少し興奮して、やはり一発勝負の高校スポーツはおもしろい!とうなりながら自分にもこんな時代があったんだな、そうつぶやき思い出し、確かにあった、あった、あった、あの生駒おろしの吹き下ろす寒い、寒い茶色い芝生の上に・・・・・

「いいか!君たちはこの日のために3年間苦しい練習に耐えてきたんだ。悔いの無いよう思う存分やってこい」監督の声が風の音といっしょに耳に入ってくる。
ついに来たかと言う感じでみんな上を向いたり下を向いたり、監督の潤んだ目を見たりしてそれぞれの気持ちを高めている。毛穴は開き、涙腺もゆるみ、ビンタ何発食らっても全然痛くないぞ!みたいな感じで燃えあがっている。
「ええか、みんな死ぬ気で行くで!」円陣を組みキャプテンが叫ぶ。「オエッ、オエッ、オエッ」いつものかけ声を三回繰り返しグランドに散っていくフィフティーン。
「レディー」レフリーの掛け声、ホイッスルの音が響き試合が始まった。いくら走っても走ってもしんどいとか、すごくきついタックルを食らっても痛いとか全く感じない。感じるのはただ風の強さだけだ。10分、20分、30分とあっという間に前半が終わり、後半もすぐに時間が過ぎた。
「ノーサーイド!」レフリーがゲームの終わりを告げる・・・・早いよ審判、もう少しやらせてくれよ、もう少し、もう少しだけ、みんなとやらしてくれよ!・・・・心でそう叫んでいた。みんなも、そんな顔をしていた。
だけど終わったんだ。これで、青春の全てをかけた3年間が、今これで・・・・・
泣き崩れるもの、ぼーぜんとして立ちつくすもの、それぞれの思いが態度に現れる。
「ナイスゲーム」監督のその一言でまたまた辛くなり、胸のあたりからグッと感動の液体が鼻を通って目からこぼれ出す。これが青春じゃ〜。
「よっしゃ、ほんなら片づけてバス乗って帰ろ」と、あっけなく監督。
えっ、もう、そんなに早く、もっと余韻を、えっ、次の試合が控えてる、早くグランドあけろ、あーそう、まあね、これが、これが現実や〜。
あの燃え上がった試合から30分、「 あーあー終わった終わった。ほんなら明日、パーマ屋行ってパンチパーマでもあてようか」「いや、わしゃー、ニグロにするで〜」「それより帰ったら何か食べー行こうや」などという、たわいもない会話をしながら帰路についた。
次の日パーマ屋に行って、こての熱さに耐えきれず「あつー!」と思わず叫んでしまった僕は、昨日のあの強さは何だったんだろうと思い返すのでした。
あれから25年、僕は少し歳をとり、冬は少し暖かくなった。


2000年 12月 18日

今週の撮影はお休み状態でした。だれか竣工写真いりませんか〜
と言うわけで最近営業してるんです私は、それも現場に。
いつもの飛び込み営業をやっているのですが、これがまたひじょーに確率が悪く一日歩いても名刺一枚も貰えない日もあり、これではいかんと思い、僅かのつてを頼ってアポと言うやつを取って行ってみたらこれが飛び込みの時に比べて現場の対応がぜんぜん違うので、こりゃいいやと思っていたのですが僅かのつてがもう無くなって、行くとこなくなりました。だれか現場紹介してくれません?でもがんばります。やはり写真がいっぱ撮りたいですからね。
と言うわけで今週のメインの仕事は、ポストカードの制作です。
このポストカードは二年ほど前から毎月(出せない月もあるけど)いつもお世話になっている人やこれからお世話になる人、いやお世話になりたいな〜と思っている人、何人かに出してるもので営業の一環なんですが、これがまた楽しんです。
いつもポケットに忍ばせているコンパクトカメラや、よし撮るぞと持っていくハッセルで撮ったスナップ写真です。いつもはその中からメッセージ性が少しは感じられそうな写真を選んでオリジナルプリントして送るのですが、今月は僕の高校時代のラグビー部の先輩からクリスマスカードを作ってくれと言うリクエストがあり、はいわかりました!と二つ返事で引き受けました。(修さんこわいからな〜)
でもこんなふうに最初に撮る目的が決まっているのは初めてで、なんか、よしやるぞ!と気合いが入ったのです。
クリスマスと言えばやはりサンタクロース(発想が幼稚やな)と思いJR西宮前のコープデイズに据えられているでかいサンタの人形を何枚か撮ったのですが、いまいちパッとしない、やはりサンタじゃあまりにもベタすぎる。
クリスマスツリー、これもべたやな。
じゃあトナカイか?どこにいるんやろ???
と色々考えたんですがやはり教会、これしかない!と思い、まずは夙川の教会に行ってみたのですがこれがまたペラペラのベタベタ教会で(中身は知りませんよ、あくまで外観だけの事)なぜか松など植えてあったりして絵にならない。う〜んどこかにいい教会はないかなー。あっそうだ阪急宝塚南口手前になんか変わった形の教会があった、あった。
あれは確か村野藤吾の作品だったかなと思いながらコンパクトカメラをポケットに忍ばせその教会に行ってみた。電車の中から観た印象はスッポンみたいやな〜
けどその教会に近づいてみると、スゲーなこれと言うか何というか、この粘土をこねくりまわしたと言うか、一つの岩石からのみで削りだしたと言うか、いいかげんと言うか、そこには建築家の定規の線ではなく確かに手のかたちがはっきりと見えてくるのです。
久々の感動、ヤッパ巨匠はちがうな〜と撮りまくり10分ぐらいでフイルムを使い切り、もっとフイルム持ってくりゃ良かったと後悔しながら今度は頼んで中も撮らしてもらおうと思ったのでした。
そして後日プリントしてみたら、な、なんと、教会の十字架のうえに雲の十字架が架かってるじゃありませんか(目を薄目にして見てくださいね)。
いい写真が撮れました、と言うか撮れていました。
やはり神様はいるんですねイエス・キリストも写真の神様も。
営業の神様も、どっかにおらんかな〜
ではまた来週。

2000年 12月 11日
今週も天気のいい日が続いた。
カラッと晴れた日に仕事がないと僕の心はどんより曇り、どんより曇った日に仕事がないと僕の心はひじょ〜にカラッと晴れわたるのです。
お日様とはいい付き合いをしていきたいと思います。
前回から始めたこの日記に励ましのメールをもらいました。
江川さん、秋月さん、どうも有り難うございます。がんばって書きまーす。

木曜日、四国の観音寺市に撮影に行って来ました。物件は四国八十八カ所霊場の六十八番札所、神恵院の本堂新築工事です。ここは八十八カ所霊場で唯一、一つのお寺の中に二つの札所(観音寺と神恵院)があるところで、お遍路さんにはとてもラッキーなところなんです。
そんな神恵院の本堂がこのたび竣工し、竣工写真を撮ってきたのです。
朝4時起き、5時出発で8時に無事到着、朝日がキラキラ輝く絶好の撮影日よりでした。
撮影の中で一番大変だったのが足場の上からの撮影で、この日の撮影のためにわざわざ施工業者さんに頼んで組んでもらったんですが、打ち合わせの時に「4段ぐらいで大丈夫でしょう」と軽く言ったのはいいけど、いざ組上がってみるとこれがメチャメチャ高い!
それも単独で建っているので登っているときに倒れるんじゃないかとこれまた怖く、
「あのー、3段ぐらいでいんじゃないですか」と怖じけずいた僕に業者さんは「いやいや、やっぱり最初にあなたが言ったように4段にせんとよー見えんわ」「ですよね〜…」
下を見たら怖いから下を見ずに一気に登れと言う一般的なありがたい忠告をもらい、
やっとの思いで一番上まで上がり、腹の辺りがモヨモヨするのを我慢してカメラを据え、
いざシャッターを押そうとしたら、これがまたカメラが少しグラグラ揺れてるんです、参ったなこれー、でもあの篠山紀信も相撲取りとその関係者総勢2000人を撮った時にこんなビティー足場から撮ってたもんなーなんとかなるか、と開き直り「ブレませんように、足場が倒れません様にナムダイシヘンジョウコンゴウ、ナムダイシヘンジョウコンゴウ」と呟きながらシャッターを切ったのでした。
その日一緒に連れて行ったアスターは一日中吠えまくってたし、エス.トモはエス.トモで結界、結界と訳の解らないことを言い続けるしで、なんか疲れた一日でした。
写真が出来ましたらこのホームページで紹介しますのでまた見て下さいね。


☆2000年 12月 4日


今週から毎週この日記を書こうと思っている。と思っているうちに毎週書けるかなーと
心配になってきたので、出来れば毎週書きますと言っておくことにします。

先週はいい天気が続いたのですが撮影の方は先方さんの都合で1件キャンセル、もう1件は単品の撮影が3カットと非常に暇でした。
そんな中、先月の末までやっていたJIA関西支部展示会に出品していた作品の撤収に行って来ました。
この展示会は関西地区JIAの建築家の方々が設計した家の写真パネルや模型を展示するものなのですが今回はアーチスト?も参加して行うということになったようで、僕にもよかったら何か出品しないかという声がかかり今回出品させてもらいました。
僕が出品した写真は「逃げたひつじ」という、見る人にはよく分からない、僕個人の心理描写みたいな写真だったのでプリントしてる時から、はずすかなーと思っていたんですが展示した時にみなさんの作品と比べたらやっぱりはずれてました。
ま、それはそれでしょうがないですけど。
しかしそんなはずれた写真を助けてくれたのがエス.トモが書いてくれた数行のコピーでした。なんとも捕らえようのないすばらしいコピーだとエス.トモの才能にまたまた感心させられました。(身内で誉めすぎや!)
そのコピーを紹介します。

  「逃げたひつじ」 
 夢の中に僕の先祖みたいなお婆さんが出てきて
 「一生の仕事が見つかって、よかったなあ。」と言った。
 仕事と言うのは、こうやって見つからないものを探しながら
 歩き回ることなのだろうか。

この夢は、ぼくが半年ぐらい前に見た本当の夢??なんです、まじで。
いいでしょ、いいと思いませんか、このこのコピー。
それでは、また来週。

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