〇〇 6月のカメラマン平のぶらぶら日記

6/26
昨日の夜は、いや今朝になるのだが読みかけの推理小説が佳境に入り、ついつい最後まで読んでしまった。床についたのは午前3時、起きたのは朝9時を回っていた。
いい天気だ。気分は当然悪い。梅雨は曇りか雨やろ!それに何でこんなに暑いの!とぶつぶつ天気に文句を言いながらコーヒーを飲み目をさます。片づけて掃除して、新聞読んだらもう11時、ぶらぶら写真のフイルム現像に取りかかる。暗室代わりのトイレは真夏程ではないが、結構暑い。手が汗ばんでフイルムがうまくリールに絡まない。これだから夏は嫌だ。12時45分からはやはり「ちゅらさん」を見ないといけないので手を止めて昼食をとりながらテレビを見る。今週は”おばあ”の活躍が楽しみである。
3時に現像終了。そして4時前に西宮北口のアクタの図書館に本を返しに行き、それから2時間ほど北口周りをぶらぶら撮影、トライXを2本ほど使った。この辺はここ何ヶ月でだいぶ変わっていた。きつい夏の日射しに入道雲、道行く人たちはだれも暑そうである。それから今度はアクタの中にあるジュンクドー書店に立ち読みに行く。西宮にこんな大きな本屋が出来て本当に助かる。写真集のコーナーに行って森山大道の写真集を立ち読み。アラーキーもいいが大道もとても素晴らしい!少し感動したけど写真集は買わなかった。でも次来たときは買おうと心に決めて、その代わりではないのだがビールを買って自転車で家路につく。その途中でカメラのキタムラによりネガホルダーを買う。ここのキタムラはいつ来ても客が少ないので心配してしまう。
家についてフイルムの整理。夕食を済ましてアスターの散歩、エストモと原稿の打ち合わせ、風呂に入ってこの日記を書き出したのが1時前。今1時30分。これから長くならない本を読んで2時ぐらいに寝ます。みなさんおやすみなさい。

6/19
本格的に梅雨入りしたみたいで毎日うっとうしい日が続いている。こんな時は商売上がったりで、もう何年かしたら雨の日でもからっと晴天に撮れるカメラが出来るんだろうなとぱっとしない空を見上げながら、最近は色々と私事の方の計画を練っている。またいいものが出来たらこのホームページで発表します。気長に待っていて下さい。
イタリアでは中田のローマが優勝を決めた。民放で月曜日AM1:25からやっていたので眠いのをこらえて最後まで観た。中田が出たのが後半30分ぐらいからで、試合の方は3−0でローマが勝っていて後は試合終了の笛を聞くだけ、中田の活躍を期待した僕だったが、ただボールを回すだけの中田を見てちょっと拍子抜けした。しかし終了間際にファンがグランドに流れ込んできたときには我が目を疑った。その数は何百人、え〜っ!こんな事してたら試合が無効になるんじゃないのと驚いたのだが、さすがはイタリア、ちゃんと段取りが有るみたいで15分後には混乱は綺麗に収まり試合再開。3時まで起きていた僕は、中田も出たしローマも優勝したので納得して寝ることが出来ました。が、しかし一つ気になることが残った。それは来期も中田はローマに居るのだろうか?と言うことだ。ローマの試合を初めて最初から最後まで見たが、中田のライバルであるトッティーはすごい選手であると言うことがわかった。いくら中田でもこの選手を越えることはちょっと難しいのではないか?このままローマに居ても出番は少ないのではないか?だったら他のチームに移った方が中田の為ではないのだろうか?まあその辺は中田自身に任せて僕たちはただ世界最高峰のセリエで活躍する彼の応援を影ながらしていればいいのだが・・・。

そして先週一番気になったのは和歌山の猿の事である。
純粋なニホンザル以外は安楽死させるというなんとも人間のエゴ丸出しの考え方、そして人間の奥に隠されている残酷な本能。僕は恐怖感まで覚えたのだが、皆さんはどうだろうか?実際の現場で話を聞いたわけではなく、ただ新聞やテレビのニュースを見て言っているだけなのだが、確実に人が大きな間違いをしている事がある。それは安楽死の考え方である。
今回の事がなぜ安楽死なのか?安楽死とはその人(サル)が誰かに頼んで安らかに死を選ぶ事で、まだまだ元気で、これからも長く生きていたいと思ってる者を安らかに殺すのは安楽死とは呼ばない。安楽死、なんと優しい響きであろう。だがこの優しい響きにごまかされてはいけない。今回人間がやろうとしているのは単なる駆除、そして殺戮なのだ。
ただ純血を守るというだけで・・・・和歌山県はもう一度考え直すべきである。

6/12
先週はサッカーで盛り上がった。なんと日本は決勝まで進みフランスについで2位!
またしてもトルシエの株が上がり、なぜか通訳の変な男まで目立っていた。前から思っていたことだが、あの男はいったい何者なのか?トルシエとはどーいう関係なのか?僕的にはひじょーに興味がある男だ。
残念だったのはローマに帰った中田に出番がなかったこと。厳しい勝負の世界ではあるが、監督、それはないんじゃない?と言った感じです。
世界との壁はまだまだあると思うが、がんばれ日本!がんばれ中田!がんばれ通訳!

先週の続き・・・これはフィクションです。
万博組織委員会の事務所前
徳利と盃ととんがりコーンで出来たオブジェを掴み、ドアを睨み付けたまま肩で息を
している太郎。うおりゃ〜!と叫びドアを蹴破る。
事務所の中では大勢のスタッフが働いていたが、その音に驚き一斉に目を丸くしてドアの方を振り向く。
太郎「丹下は居るか」
スタッフ「・・・・・・」ビックリして声が出ない。
太郎「丹下は居るかと聞いてるんだ!」
スタッフの中から一人の男が出てくる。安藤忠雄である。
安藤「なんじゃ!おっさん!びっくりするやないけ!」
太郎「丹下は居ないのか」
安藤「さっきから丹下、丹下って偉そうに。おっさん一体何者じゃ!」
太郎「元気がいいのう若いの」
安藤「なんやと」
若いと言われただけでキレル安藤。さっとボクシングのファイティングポーズをとる。
太郎「ほうボクシングか。おもしろい」
太郎も負けじとファイティングポーズをとる。
安藤「おっさん、こっちは本物やで。死ぬで」
太郎「やれるもんならやってみろ」
睨み合う二人。そこに丹下が入ってくる。
丹下「なんだなんだ、騒がしいぞ!また安藤君か、騒いでいるのは」
丹下、ファイティングポーズをとっている太郎と安藤に気付きハッとなる。
丹下「やっ、止めないか安藤君!この人が誰だか知ってるのか!あの岡本太郎先    生だぞ」
二人の間に入って止める丹下。
丹下「すまんね岡本さん。こいつすぐ切れる奴で。(安藤の方に向いて)お前は何度    言ったらわかるんだ!今度やったら本当に大阪へ返すからな!」
太郎「いやいや、若いときはこれくらい元気のある奴の方がいいよ」
しょんぼりしている安藤に丹下がたたみかける。
丹下「ほんとに君は気が短くてだめだな。この前も現場で監督を殴っただろう!あの   後治療費やら慰謝料やらで大変だったんだぞ!高くついたんだ!高く!」
安藤「すんません。また給料から引いといて下さい」
丹下「給料?給料って君はいったいいくら貰ってるんだ!この先2年はただ働きだぞ   !」
安藤「すんません」
丹下「ほんとにもう困った奴だ。こんな事してたら才能が花咲く前に豚箱行きだぞ」
安藤「ほんと、すんません・・・」落ち込む安藤。
太郎「まあまあ、今日は相手になった私も悪いんだからいいじゃないですか」
丹下「すいませんね岡本さん。勘弁してやって下さい。こいつ、こう見えても結構才    能あって。この気の短いのさえ治れば将来日本の建築界を担う程の建築家に   なると思うんですがね、何分この短気だから・・・あっ今日はこんな遅くになんで   しょう?」
太郎「うん、出来たんだよ、あれが」
丹下「出来ましたか、あれが」
部屋の中央のテーブル上には、万博のお祭り広場の模型が置かれている。
太郎、テーブルに近寄り模型を睨み付ける。だんだんと表情が変わっていく。
丹下「どうですこのスケール。ここのスタッフが一月がかりでやっと完成しましたよ。
   安藤君なんかはここ1週間ほど寝てないんじゃないかなあ」
太郎、独り言のように、呟くように。完全に芸術家の太郎に戻っている。
太郎「フン、一月?一週間徹夜?そんなことどうでもいいんだよ、どうでも」
丹下「えっ?」
太郎、持っていた曲がった徳利をふりかざし、一気に模型の真ん中に突き刺した。
ズボッ!バキッ!と壊れる模型。
丹下「あっ、あああああ〜」開いた口が塞がらない丹下。
安藤「なっ、何さらすんじゃ!ぼけっ!」またファイティングポーズをとる安藤
太郎、薄笑いを浮かべ丹下と安藤を睨み付けながら言う。
太郎「70メートルだ、70メートル」
丹下「なっ、なっ、70メートル!」
太郎「そうだ。70メートルだ」
丹下「むっ、無茶だよ70メートルなんて」
安藤「おっさん、あほちゃうか!このお祭り広場の大屋根はどうするねん!大屋根    は!一週間も徹夜して作った模型壊しよって」
太郎「70メートルより低いんだったら、突き破るまでだ」
安藤「つ、突き破る?この徳利でか!なめとったら、しばくぞ!」
丹下「やめんか!安藤君 、一生ただ働きしたいのか。でも岡本さん、いくら何でもこ   れは、ちょっと・・・・・他の人がなんて言うか」
太郎「他の者なんか関係ない!丹下君、万博、いや日本全体が進歩主義、モダニ   ズム一色になることは目に見えているんだよ。そこで私は逆に時空を越えた絶   対感。馬鹿みたいに、ただドカンと突っ立っただけの『太陽の塔』を作るんだよ」
丹下「太陽の塔!」
安藤「どこが太陽や、徳利の塔やないか」
丹下「うるさい!」
太郎「現代の惰性への激しい挑みの象徴として。人目を気にしない”ベラボーなもの   ”をうち出すつもりで、初めから評価など蹴飛ばして作るんだ。エリートや美術    関係者などからは反感をかい、悪口も言われるだろう。しかしな 、無条件のピ   ープルには必ず喜ばれると思うよ。この塔さえあれば万博は成功したようなも    んだよ」
丹下「ただドカンと突っ立ってるだけか・・・・見るだけのものか・・・・相変わらず
   いいね岡本さん。すごくいい。よしわかった。やろうよ、この太陽の塔。絶対や    ろう。安藤君この模型明日までに直しといてくれよ」
安藤「うそ〜まじで」
語り「万博は6000万人以上を動員し大成功を収めた。太陽の塔は永久保存と決    まった。ほとんどの施設が撤去され、辺りのざわめきが消えた今、あの太郎が   平気で挑んだ姿勢と、その裏の、運命を優しくかかえたデリカシーが一緒に浮   かび出てくるようだ。これからもこの塔は孤独で、太陽に向かい、大地に向かっ   て挑み続けるだろう。岡本太郎は言う。私自身、これからも我が運命を私の”    挑み”の意志の実験台にしてやる。確かに危険な道だ。つねに死の予感に戦   慄する。だが死に対面した時にこそ生の歓喜がぞくぞくっとわき上がるのだ。    血を流しながらにっこり笑おう。と」 かっこいい人である・・・・・また来週。
注・・・文章の一部や最後の語りの部分はみすず書房の岡本太郎の本『呪術誕生』より引用した。

6/5
今日近畿地方が梅雨入りしたらしい。ぶらぶら写真は傘をさしたままでも、どんどん撮れるのだが建築写真はそうはいかないのである。うっとおしく、やっかいな季節がまたやって来た。それでもサッカーは盛り上がっている。なんとトルシエジャパンがカナダを破り、カメルーンも撃破し、ブラジルには引き分けて予選一位で決勝リーグに進んだのである。決勝リーグが今から楽しみだ。そして来年はワールドカップ、韓国も日本もがんばれー!

太陽の塔の続き。(これはフィクションです。あたりまえじゃ!)
太郎のアトリエ。
太郎が一人でぶつぶつ言いながら手酌で酒を飲んでいる。テーブルには数本の徳利が転がっている。
太郎「何が万博じゃ、何が丹下健三じゃ!えらそうに!今に見とれよ、芸術家なめたらいかんで、度肝抜かせてやるからな・・・」
大きくため息をつきながら
太郎「ハー、でもどんなもの創ろうかいなー、いまいちパッとひらめかんのじゃな〜」
その時突然ドンドンドンとドアがノックされる。
太郎「誰じゃ、こんな夜中に!もう営業は終わりじゃ!帰れ帰れ!」
その声を無視してドアが開き一人の男が入ってくる。
太郎「誰じゃお前は!」
男 「ハーイ。私ユリゲラー」
太郎「?」
男 「私のこと知りませんか?私、有名な超能力者です。はい」
太郎「超能力者?あー、あのペテン師野郎か」
男 「違う!ペテン違う!私、本当の超能力者!」
男はポケットからスプーンを取り出し、親指と人差し指で軽くスプーンを擦る。するとスプーンがグニャッと曲がる。
男 「ほらね」
太郎「アホくさ。どうせタネありのスプーンなんだろ」
男 「違う!違う!だったらこんな事も出来るよ」
男は背中に背負っていたフライパンを抜き取り、太郎に見せながら、
男 「これ曲げる」
太郎今度は目が真剣になる。
太郎「・・・・・」
男はさっと太郎に背を向け、太郎にわからないように腕の力で曲げようとするが、誰が見ても腕の力で曲げているのがよくわかる。
男、取っ手の曲がったフライパンを持って振り向く。
男 「ほらね」
太郎「お前今、手で曲げただろう、手で!」
男 「わかった」
太郎「あたりまえじゃ!アホかお前は!」
男 「違う!違う!今のはちょっと力入ったけど・・・だったらこんな事も出来るよ」
男はテーブルの上にあった徳利を人差し指で擦りだす。だんだんと徳利が曲がり出す。
太郎「あーっ!この野郎!酒が飲めなくなるじゃないか!」
男は太郎の声も気にしない。
男 「こんな事も」
男は曲がった徳利の注ぎ口に今度は盃を張り付ける。
太郎「バカ野郎!それにはまだ酒が残ってんだぞ!それじゃ酒が出ねーじゃないか!」
太郎の怒鳴り声も無視して。
男 「こんな事も」
盃の張り付いた徳利の両サイドに、つまみのとんがりコーンを張り付ける。
太郎「やめ・・・・・・・・ん!」
やめろと言いかけて何かひらめいた様子になる太郎。
男 「私、超能力者。どうだ参ったかっ!」
太郎「こっ、この形は・・・!」 
男 「私、今日の力全部使い切った。疲れた、もう帰る」
急に疲れた表情になった男は太郎の前に右手を差し出す。
太郎「なに?」
男 「五百円」
太郎「金取るの!」
男 「当たり前。私、超能力者、これ商売」
太郎しぶしぶ財布から金を出し男に渡す。
男、急に元気を取り戻す。
男 「毎度、おおきに!」
にこにこしながら去っていく男。
太郎、去っていく男を見送りながら、
太郎「関西人だったんだ」
太郎テーブルの上の徳利と盃と、とんがりコーンで創られた不思議な形の物体を食い入るように見つめる。
太郎「これだ、この形だ!これで行ける!」
めらめらと闘志が沸いてきた太郎はその物体をつかみ取ると一目散にアトリエから駆け出したのである。駆け出した先は丹下健三率いる万博組織委員会の事務所だったのである。
今週はこのへんで・・・・・・・・。
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